
挑戦を支えるワイズの文化:キャリアの集大成としての独立
ワイズ訪問看護リハビリステーションで訪問リハビリの仕事に携わってきた理学療法士の若林直史さん。
「独立して自分の訪問看護ステーションを持ちたい」という夢を実現させ、2025年4月にハートリハ訪問看護ステーション久我山を開業しました。

現場で経験を積む中で見つけた「訪問看護の可能性やその深さ」、そして独立という大きな決断を支えたワイズでの学びとは何だったのか。
本インタビューでは、若林さんのキャリアを紐解きながら、ワイズが提供する「挑戦を応援する環境」と、そこで培われた「目指す姿」を紹介します。
理学療法士への道と信念
~第二の人生で見つけた「誰かの役に立つ喜び」~
Q. 若林さんが理学療法士を目指したきっかけを教えてください。
20代後半の頃、社会人としての仕事を辞め、ハローワークに通っていた時期がありました。そのとき紹介されたのが、デイサービスでのボランティア活動です。

そこでご高齢の方から「ありがとう」と声をかけていただいた瞬間、胸の奥に温かいものが残りました。“誰かの役に立てる喜び”を初めて強く実感したんです。
それまでは自分のために働いていましたが、「人のために働くこと」に魅力を感じていく中で、理学療法士という仕事に出会いました。
学生時代、陸上競技の三段跳でインターネットの検索結果に残るくらいの成績を残しました。その関係で身体の使い方や鍛え方にはずっと興味がありました。その経験を活かして、人の「動く喜び」を支えられる仕事がしたい──そう思い、32歳で再出発しました。
Q. 資格を取得してからのキャリアについて教えてください。
資格を取ってからは急性期病院に勤務し、整形外科や内科の患者さんを担当しました。
6年目には、心臓手術後の患者さんのリハビリにも関わり、新たに「心臓リハビリテーション指導士」の資格も取得しました。
ある日、病院に新しく着任された心臓外科の先生から「誰か術後リハを担当してくれないか」と声がかかり、誰も手を挙げない中、自分が名乗り出ました。「誰もやらないなら、自分がやる」──その性格がここでも出たと思います(笑)。

手探りでしたが、試行錯誤を重ねるうちに、“医療の最前線で人の命と真剣に向き合うやりがい”を感じるようになりました。
Q. 仕事をする上で大切にしている言葉や信念はありますか?
今でも大切にしている言葉があります。それは、先輩から教わった「リハビリは愛だ」という言葉です。
“愛”とは、ただ優しくすることではありません。相手のために何ができるかを本気で考え、時に厳しく寄り添う姿勢も大切。その根底にあるのは「相手を想う気持ち」だと思うんです。
リハビリも、看護も、介護も、そして経営も──すべては“愛”でつながっている。この言葉は今でも自分の原点であり、スタッフにも伝え続けています。
訪問リハビリとの出会い
~病院では見えなかった「生活のリアル」に惹かれて~
Q4. 訪問リハビリに関わるようになったきっかけ何だったのでしょうか
2つ目に勤めた病院が訪問看護ステーションを立ち上げ、週1回の非常勤として訪問リハを担当するようになったのがきっかけです。実際にご自宅へ伺うと、病院では見えなかった“生活のリアル”がありました。

家の段差、家族との会話、ペットとの時間──それらすべてが、その人の生きる力になっている。「この人は、どう生きたいのか」そこまで考えて寄り添える訪問リハの奥深さに、強く惹かれました。そのとき、「自分はこの道で生きていこう」と決めました。
ワイズ訪問看護リハビリステーション、横山社長との出会い
~「開業を応援します」その一言が未来を動かした~
Q.数ある訪問看護ステーションの中で、 ワイズ訪問看護リハビリステーションに入職を決めた理由は何だったのでしょうか
「開業を応援します」という言葉に強く心を動かされました。
理学療法士という仕事は、年齢を重ねると次のステップが限られていく現実があります。だからこそ、未来を見据えて“自立を支援する”という姿勢に共感しました。
実は他の事業所では、年齢のことで採用を見送られた経験もあり、少し自信をなくしていた時期もありました。
そんな中、ワイズの横山社長と面接でお話したときに、「まだまだ伸びしろがある」と言ってくださったんです。その一言に救われました。しかも、面接では開業に必要な準備や資金計画の話までしてくれました。

横山社長は、単に「人を雇う」「働いてもらう」という経営者ではありませんでした。多くの訪問看護ステーションが人手不足を補うために採用を行う中で、横山社長は「一人ひとりのキャリアをどう伸ばすか」「どうすれば地域で志ある人材が次のステージへ羽ばたけるか」という視点で話をされていたように思います。
利益や事業拡大はもちろん大事ですが、それだけではなく、“人の成長が事業の成長につながる”という信念をもとに、スタッフ一人ひとりの夢を真剣に聞き、実現のために仕組みを整えてくれる方でした。
しかも驚いたのは、「いずれ独立したい」という想いに対しても前向きに背中を押してくれる姿勢です。
普通なら、独立の話をすれば「辞められたら困る」と敬遠されるところですが、横山社長は「ワイズでしっかり力をつけて、自分のステーションをつくればいい」との考えです。
その、組織に縛るのではなく“人の未来を応援する経営”という大きな器を感じました。この出会いが、私にとって「もう一度挑戦してみよう」と思える原点になったんです。
Q. ワイズで働いていた期間はいかがでしたか
医療職としての訪問リハは本当に楽しかったですね。ご利用者さんやご家族が訪問を喜んでくださったり、「歩けるようになった」「映画を見に行けた」「また仕事に戻れた」など、生活が前向きに変化していく姿を間近で見られることが何よりのやりがいでした。

訪問の現場という意味では、どの事業所でも大きく変わらない部分もあると思いますが、医療職として一人ひとりの生活に深く関わる面白さや責任の重さを、改めて実感しました。
一方で、ワイズでは臨床だけでなく営業活動や数値管理など、一般企業的な要素も求められました。
最初は戸惑いもありましたし、正直に言えば何度も壁にぶつかりましたが、その分学びも非常に多かったと思います。
数字の管理やスプレッドシートを使った仕組みづくり、現場運営の効率化など、今の自分の経営に直結しているスキルはこの時期に身につけたものです。
また、チームづくりや人のマネジメントでも多くの経験を積むことができました。新しい拠点の立ち上げでは、思うように人材が定着しなかったり、組織作りの難しさを痛感することもありましたが、その経験があったからこそ「人が辞めない組織とは何か」を深く考えるようになりました。今、自分の会社でスタッフが安心して働ける環境づくりを意識できているのは、当時の経験があったからだと思います。
結果的に、ワイズで過ごした日々は、医療職としてだけでなく、経営者としての視点や覚悟を養う貴重な時間になりました。
Q. 独立を決意されたのはどんな経緯だったのでしょうか?
もともと独立をしたいと思っていましたが、ワイズでの経験を通じて、「自分の地域で、自分らしい形のリハビリを提供したい」という想いが強くなりました。
経営のこと、スタッフ育成のこと、医療連携のこと──ワイズ時代が、自分の次のステップを後押ししてくれました。
そして、独立の決意を横山社長に伝えしたときのことは、今でもはっきり覚えています。
少し緊張しながら「自分の事業を立ち上げたい」と話すと、社長は驚くどころか、満面の笑みで「それは本当に嬉しい!よく決断したね」と喜んでくださったんです。
この社長への退職と起業の報告は、私にとって後戻りできない、やるしかないと覚悟を決めた瞬間でした。

この一言を告げたことで、起業しないという選択肢は消えて、すべての責任を背負って前に進むしかないと腹をくくりました。
普通なら、退職の報告は少し寂しい話になると思いますが、ワイズではそれが“卒業”のような、前向きで温かい出来事として受け止められる。
この会社は人の未来を応援してくれる場所なのだと実感しました。
社長の言葉と笑顔に励まされ、次のキャリアに向けて前向きに歩み出す決意を固めることができました。
停滞の中で見えた「経営者としての覚悟」
~苦しさの中でも感じた、理想の訪問看護リハビリを形にできる自由 ~
Q. 独立後の状況について教えてください。
訪問看護リハビリの事業を立ち上げるというのは、やはり想像を遥かに超える大変さがあります。
リハビリの技術だけではダメで、経理、労務、法的な知識、地域連携、そして何よりスタッフの採用・育成と、すべてが自分の責任になります。特に、開業当初は自分の専門外の業務に追われ、心が折れそうになる瞬間もありました。
少しずつ軌道に乗ってきたかと思えば、思いがけない停滞に直面しました。
5月に初めての利用者様を迎えて以降、順調に増えていた依頼が、9月を境に急に止まったのです。
決して手を抜いていたわけでもなく、むしろ常に「次の一手」を考えて動いていました。
それでも依頼が来ない――まるで霧の中を手探りで進むような日々でした。
ただ、そのとき不思議と「これもまた経営の一部だ」と落ち着いて受け止められたんです。
そう思えるようになったのは、ワイズ時代に横山さんのもとで働き、数々の苦労を乗り越えてきた経験があったからだと思います。
あの時の方が、今よりもずっと厳しい現実に直面していたように思えました。
~苦しい時期を支えた“ひとつの言葉”~
8月中旬、横山さんから「ちょっと飲まない?」とLINEをいただきました。
ちょうどスタッフが一人退職を考えていた頃で、依頼も減り、孤独と不安に押しつぶされそうな時期でした。
その時のLINEには、「今は経験したことのない孤独と戦っています」と返信したのを覚えています。

実際にお会いして話をしたとき、横山さんは「前の月より売上が増えたなら、順調じゃないか。悪いこともあるけど、そんなこともあるさ」と笑いながら言ってくださって。
その言葉に、本当に救われました。
何より、自分の話を心から楽しそうに聞いてくださったことが嬉しかったですね。
「俺から教えることはないよ」と言いながら、背中を押してくれる――あの夜の温かさは、今でも忘れられません。
~苦しみながらも気づいた「自由」と「やりがい」~
そうした苦しい時期の中でも感じるのは、「自分が理想とする訪問看護リハビリを、100%の形で実現できる」という、かけがえのない自由です。
誰に遠慮することもなく、利用者様にとって本当に必要なサービスを追求できる。そして、自分が考え、育てたスタッフが、自分の信念を体現し、「ありがとう」をいただいている姿を見たとき、すべての苦労が報われます。
起業とは、「自分がすべての責任を負う」という覚悟と引き換えに、「自分のやりたいことで地域に貢献する」という最高の喜びをくれる、究極のチャレンジだと実感しています。
Q.ハートリハさんの「目指す姿」ついて教えて下さい
2024年に「株式会社ハートリハ」を設立し、2025年4月にハートリハ訪問看護ステーション久我山を開業したわけですが、“ハート”には「人を想う気持ち」「温もり」「情熱」という意味を込めました。スタッフには、「焦らず、比べず、目の前の人を大切に」と伝えています。
それから 私は昔から勉強が好きなんです。新しい知識を知ること、技術を磨くことが純粋に楽しいんですよね。
訪問看護やリハビリの仕事では、医療・介護・心理・栄養など、幅広い分野の理解が求められます。
だからこそ、常に「学び続けること」が大切だと思っています。実際に、訪問に伺う際や面談のときには、自分で作った10ページほどのリーフレットをお渡しすることがあります。
これは、私自身がまとめた「リハビリの考え方」「生活改善のヒント」「心のケア」などを載せたもので、利用者様やご家族、そして社内スタッフにも読んでもらっています。
“知ること”で人は安心し、“学ぶこと”で前に進める。社内教育も同じで、学びを通して自信を持てるスタッフを育てることが、最終的には利用者様への良い支援につながると感じています。学びの文化があるチームは、必ず強く優しくなります。それがハートリハの「目指す姿」です。
恐れず挑戦を。「挑戦と失敗」が財産になる
ワイズで働く方へのメッセージ
Q. 最後に、これからワイズで働く方々、そして独立を考えている方々へメッセージをお願いします。
そうですね。
ワイズで一緒に働いていた仲間の中にも、副業をしたり、「いつか自分でやりたい」と話していた人がいました。
実際に私も、そうした想いを持って独立しましたが、正直に言えば――「独立は簡単ではない」です。
経営は運やタイミングにも左右されますし、最初の数ヶ月は本当に試練の連続でした。
訪問看護で独立する場合は、信頼できる仲間がいることや、地域での需要がしっかりあることが大前提です。

競合が多い都市部では、正直おすすめできない部分もあります。
だからこそ、まずはワイズという安心できる環境の中で、“自分の強みを活かした挑戦”を試してみることをお勧めします。
ワイズには、挑戦を後押ししてくれる文化があります。
現場の意見を尊重し、個々の想いを形にしようと本気で向き合ってくれる会社です。
働きながら自分の得意分野を深めたり、副業や新しい取り組みを通じて力を試したり――そうした機会を自然に得られるのが、ワイズの大きな魅力だと思います。
そして、私自身が今強く感じているのは、「経営者になると、すべての意思決定を自分でできる」という大きな自由と責任です。
誰かに指示されるのではなく、自分の判断で物事を動かす。
それは時に苦しいですが、その分、やりがいと充実感は何にも代えがたいものです。
不思議なことに、経営者になってからは一度も体調を崩していません。
忙しさの中にあっても、自分の意志で動いているからかもしれませんね。
「独立はゴールではなく、覚悟の始まり。」
ただし、自分の信念を形にできるこの仕事は、本当に面白いです。
そしてその原点には、“挑戦と失敗を恐れない”というワイズで学んだ姿勢があります。
チャレンジ精神と熱意のある方は、ぜひワイズの門をたたいてみてください。
本日はお時間をいただき、誠にありがとうございました。
「ハートリハ訪問看護ステーション久我山」のご発展を心よりお祈りしております。

